『言葉ははかない』がうまれるまで 25

スピッツのファンクラブのツアー「GO!GO!スカンジナビアVol.5」で、写真 集の販売を開始したいっていうのは、俺の強い想いだったんだよね。それを受け入れてくれたGrasshopperとSpitzbergenには本当に感謝 してる。この写真集を、まずはメンバーに、次にスタッフに、3番目で申し訳ないけどさ、それでも届いて欲しいなって思ったのは、スピッツを長年支えてきて くれたオーディエンスの人たちだからね。

1992年にファンクラブSpitzbergenがスタートして、最初の会報から今までずっと写真を撮ってきたね。会報は4ヶ月に1回の発行だから、ツアーがない時期も集まって撮影するんだよ。いろんなところに撮影に行ったし、旅をともにしてきたね。

Spitzbergen会員だけが参加できるライヴとしてGOスカが1995年にはじまった。何度かやってるうちに、本ツアーとは別の魅力、もう一回原 点に帰れる場所みたいなライヴになっていったんだよね。とにかくさ、すごく楽しいんだよ。ステージセットがあるわけでもなく、照明もシンプルで、会場もラ イブハウスや小さなホールでさ。スピッツとオーディエンスとの距離がとても近くて、ダイレクトにレスポンスが届いてくるからさ、またちょっと違うスピッツ が見える。

GOスカ独特のおもしろさがあるんだよな。音響もPA卓だけは持って行く会場もあるけど、基本機材は会場のものを使うから、会場の個性が出るんだ。会場の持つ味によって、ライヴも変化してゆくんだよね。ライヴってやっぱり生物だからさ。

照明も同じで。今は照明ってほとんどがデジタルでプログラミングされていて、ボタンで操作するようになっているんだけどさ、GOスカの照明は会場備え付 けの機材を使って、手動でもやっているんだよね。照明チーフの橋本さんは、ものすごい技術の持ち主でさ、小節ごとに照明を変化させて、それを手動で完璧に 狙ったままに当てる。

俺、そのライトの当たり方1つ1つに感動して、“きゅん”となっちゃうんだよな。それはスピッツの世界と楽曲を知り尽くしているから、できることなんだ よね。限られた条件の中で、逆にアナログじゃないと表現できない世界を創り出してしまう。そんなプロの技をさ、間近で見られることに、また感動しちゃうん だよ。

「せっかくだから内藤さん、売り場に立ってくれると、みなさん喜ぶんじゃないですか?」ってスタッフから提案があってさ。ただボーッと立ってるのも何だし ねぇ。芸がないから。希望してくれる人がいたら、サインでもしようかな? まあ、希望する人はいないかもしれないけどさ。そんな気持ちでサイン会をするっ て決めたんだよね。

初日の横浜、続く仙台は、本当にビックリするくらいにたくさんの人が写真集を手にしてくれた。想像を超える売れ行きに、スタッフ一同驚いて、うれしくも 悲鳴を上げた。用意していた写真集の数じゃまったく足りなくてさ、すべての人に手渡すことができなかったんだよね。ごめんね。せっかく並んでくれたのに。 そのペースでゆくと、あっという間に印刷した数を超えてしまうことが初日でわかった。終演後、緊急会議だよ。翌日には、重版が決定したんだ。

サイン会にも思っていた以上に列ができてさ。普段はオーディエンスの方たちと話す機会ってないでしょ。はじめて、皆さんとお会いしてさ、短い時間だった けど、感想を聞かせてもらえたりしてね、本当にうれしかったなあ。時間がある限り、サインをしたいし、物販コーナーに立てるだけ立ちたいって思った。おな かの中にいる赤ちゃんや小さな子どもさんから70代の方まで。本当に幅広い年代の、いろんな人と話しができてうれしかったよ。

メンバーやスタッフに写真集を渡せた時に、写真集を創った1つの達成感を得られたんだけどね、皆さんと直接お会いして、ふれあって、言葉を交わして、お 礼を言えてさ、それがもう1つの大きな達成感になった。FacebookやTwitterに寄せてくれた反響を見ていても同じことだよ。皆さんの言葉は、 俺にとってすごい宝物になった。

スピッツの音楽を聴いている人の数だけ、それぞれの人生があって。その暮らしの中で、それぞれの物語としてスピッツの音楽があるんだよな。当たり前のこ となんだけどさ、それを強く実感できた。そうしたら、同じ音楽を愛して共有している仲間なんだって想いがすごく強くなったな。スピッツを愛する仲間同士、 これからもよろしくな!って思うよね。

 

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